療育って何をするの?実際の内容と活動例を現場経験から解説

療育施設で物の貸し借りを大人が入りやり取りしている場面の説明 療育について
かんちゃん
かんちゃん

こんにちは!
元児童発達支援管理責任者の
かんちゃんです。
このブログでは、療育現場や特性のあるお子さんについての情報 を発信しています。 

おのれちゃんママ
おのれちゃんママ

保育園から
療育を勧められたのだけど、 
実際療育ってどんなことするの

通っている保育園や幼稚園、健診などで
療育を勧められても、

「でも実際何をするの?」
「訓練みたいな場所?」
「いまいちイメージが湧かないなぁ・・。」

と不安になることもあると思います。

結論から言うと、
療育は“訓練の場”ではなく、
子ども一人ひとりに合わせた“あそびや生活の中での支援”
が行われる場所です。

この記事では 実際の療育活動について、
お子さんそれぞれによって違う療育の目的について、現場経験を元に説明します。

こんな人におすすめ!

・療育ってどんなことをするのか知りたい
・療育は、訓練なのか知りたい
・療育は、何回通えばいいの?
・療育って、ほんとに伸びるの?

療育ってどんなことをするの?

「療育」とは、障害をもつ子供が社会的に自立することを目的として行われる医療と保育のこと

https://www.weblio.jp/content/%E7%99%82%E8%82%B2#goog_rewarded


最近では、「児童発達支援事業」などのサービスについて指す幅広い意味合いで用いられています。
ここでは施設に通所し、支援を受けるサービス(児童発達支援)を中心にお話します。

療育では主にこのようなことを行います。

✔ あそびを通した発達支援
✔ 生活の練習(食事・着替えなど)
✔ コミュニケーションのサポート
✔ 集団生活の練習

児童発達支援の内容について、
こども家庭庁のガイドラインでは、次のように定義しています。

5つの領域の視点等を踏まえたアセスメントを行った上で、個々のこどもに応じてオーダーメイドの支援を提供する

こども家庭庁:児童発達支援ガイドライン

つまり、子どもの発達をいくつかの視点から整理し、その子に合った関わりを考えていくということです。
この5領域の視点から、
お子さんの育ちの状態や特徴・強み、
好きなことも踏まえ確認し、
それぞれのお子さんに合わせた支援目標を組み立てていきます。

こども家庭庁の発達支援ガイドライン「本人支援」の5領域の説明

「健康・生活」・・・健康状態、食事・排泄・睡眠などの生活リズムや着替えなど身辺自立
「運動・感覚」・・・姿勢・身体の使い方・視覚や聴覚などの五感に加え、様々な感覚の受け入れ方、特徴、体験の提供など
「認知・行動」・・・色の認識や物の大小、重さ、扱い方、情報理解の仕方、こだわりの行動など
「言語・コミュニケーション」・・・言葉の理解や表現、やり取りの仕方など
「人間関係・社会性」…人との信頼関係の構築、模倣、他者との遊び、ルール理解、気持ちのコントロール(相手に合わせる、がまんをするなど)


こうして立てられた目標を様々なあそびを通して、楽しみながら挑戦したり、達成したりできるようにプログラムが設定されています。

療育の1日の流れ

事業所の形態や支援時間によって異なりますが、主に施設での1日の流れはこのような流れで行なっています。

●1日の流れ
・登園/あいさつ
・自由あそび
・朝の会
・設定あそび(制作・運動など)
・昼食(またはおやつ)
・帰りの会

療育でよく行われる活動

実際にどんな活動や工夫が行われているの?

ということで、先程説明した5領域を中心とした活動などの一例をお伝えします。
それぞれのお子さんの目標や取り組み方が変わっていくこと、
各事業所によって取り組んでいる内容やアプローチの仕方が違うこともあります。

「健康・生活」

療育施設で身の回りの支度を大人と一緒に経験している

目で見てわかりやすい工夫を行い、見通しを持って行動できる環境を作る
・お子さんが自分で支度ができるように、1人1人合わせた物の配置や取り組みやすいグッズを使う
(食べやすい食具を探る、座椅子の工夫など)
・個々に合わせた丁寧な大人の関わりやサポートの工夫

「運動・感覚」

療育施設で子どもと先生がトランポリンに挑戦している

・様々な感覚あそびを経験し、好みの感覚を体験していくことや受け入れられる幅を広げる、苦手なことに出会った時の乗り越え方を見つける

例)感触あそび(スライム・砂遊び)、揺れあそび、回転あそび、振動あそびなど

・様々な運動あそびを経験して、自分の身体の使い方を知ることで、生活場面や身辺自立でできることを広げていく(くぐる、ジャンプする、飛び越える、手と足を同時に動かすなど)

「認知・行動」

療育施設のグループ活動で楽しみながら数字に触れている場面の説明

・こだわりを受け止めてもらいながら、ちょっとした変化を受け止める経験を広げる

・ぺープサートなど、興味のある遊びの中で、物や色の名前、数字に触れる

「言語・コミュニケーション」

療育施設で物の貸し借りを大人が入りやり取りしている場面の説明

・大人とのふれあいあそびを通して、「もう1回」などのやり取りを重ねる

・自分の気持ちを表現する方法(ジェスチャーや言葉)で表現できる経験を重ねる
(例:お店やさんごっこ、お買い物体験など)

・大人の丁寧なサポートを受けながら、お友達と物の貸し借りの練習をする

「人間関係・社会性」

療育施設の集団あそびの場面で、わかりやすい工夫がありながら、遊びを楽しんでいる場面の説明

・大人との楽しい関わりを通して相手に受け止められる経験、相手を信頼する経験、相手を受け入れる、折り合いをつける経験を広げる

個人の発達の状態に合わせた集団あそびやルールあそびの経験を広げる
※大人が子どもたちに対して遊びやすい環境設定や、あそびの枠組みを設定していく
(おにごっこ、ごっこあそび、お友達と協力してあそぶ、順番を待つなど)

療育のスタイルと目的は子どもによって違う

療育のスタイル【集団療育・個別療育】

児童発達支援での療育の種類として、集団療育・個別療育があります。

個別療育では、よりお子さんの状況や特徴に合わせた活動や関わり、環境の工夫が可能となる点が強みと言えます。

一方集団療法では、子ども同士のコミュニケーションや社会性の課題を積み重ねていくことができ、お友達の存在が動機づけとなるメリットがあります。

これは、お子さんの特徴、発達の段階、叶えたい目標・ねらいによってどの種類がよいのかは異なってくるので、成長に合わせて選んでいけるとよいと思います。

療育の目的は、個々によって違う

先程もお伝えした通り、
療育の目標は、かなり個人差があります。
それは、個人の特徴、発達の状態によって違うというだけでなく、
生活の環境(家庭・保育園や幼稚園など)も踏まえた上での目標となります。

Aちゃんの事例

幼稚園で一斉の工作の時間に困っている女の子

Aちゃんは、幼稚園に通園しています。
幼稚園では、みんなで一斉に制作や運動あそびをする時間が多いあり、担任の先生が1名で対応しています。
Aちゃんは、みんながやっていることに興味を持っているのですが、手先が不器用なこともあって、制作など活動によっては皆のペースには付いていくことが難しくできずに終わってしまいます。
支度や食事など自分で行える場面も増えてきていますが、後でできなかったところを先生が行なってくれています。

そんなAちゃんの様子を整理してみるとこのような点が見えてきました。

●幼稚園でのAちゃんの強みや課題点
・周りの様子を見て、状況をAちゃんなりに理解している点がある。お友達がやっていることに興味を持ち、活動によっては楽しむことができている。

・身の回りのことや、工作などは皆のペースに付いて行くことは難しい。自分で最後までやり遂げる経験が作りにくいことがありそう。(やりたい気持ちはあるけれど、”できなかった”という不全感につながりそう

療育に通い、本人のペースに合わせて取り組むことでやる気を出している事例についての説明

そこで幼稚園の先生にも様子を伺い、
ご家族と支援者が話し合い、幼稚園で取り組みにくい「身の周りのことを大人と一緒にやり遂げること」を家庭と療育でサポートする、療育では「身の回りのこと・手先の活動で、Aちゃんが取り組みやすい方法を見つけること」をサポートしていくことにしました。
療育の支援者は、より良い方法を発見したら、ご家族・幼稚園へお伝えし、幼稚園でも取り入れられそうな、取り組みやすいサポートをみんなで考えることにしました。

身支度の練習をしている説明。

身辺自立を積み重ねたいということで、まずは週間スケジュールの中で療育中心(週3)に設定しました。

ご家庭でも丁寧なサポートをしていただき、自分でできることが増え、幼稚園でも自分でできることが増えていきました。

療育の回数はどのくらいがいい?

「療育に何回通えば、伸びる?」
「沢山通えば、伸びる?」
「療育に沢山通っていたら、幼稚園や保育園で置いていかれる?」
 


療育に通うに当たって、頻度や回数について悩みますよね。
結論、個人の状況・目標の内容によって違います。

例えば、先程のAちゃんの事例でお話すると
「身の回りのこと(支度や食事など)」が療育の課題となりましたが、

・週1回の午後クラスの療育
・週3回の1日(給食あり)の療育

どちらの療育施設が、目標を達成できるか?と考えると
【週3回の1日(給食あり)の療育】がベストだと思います。

理由の1つは、経験を重ねられる頻度です。
身辺自立の課題は、特に積み重ねることでできることが増えていきます。
そのため、頻度を増やせる療育スタイルを選ぶとより達成に近づけます。 

このように療育の頻度を決める時は、これらのポイントを考えます。 

・目標に対して、どのくらい必要なのか
・並行通園している保育園や幼稚園とのバランス
・家庭での取り組み

ただ、前提として児童発達支援は、
自治体の障害福祉サービスの支給決定に基づいて利用できる福祉サービスなので、月に何回通所できるかについては自治体が認めた支給量によります。
この点に関しては、個人差・自治体によって異なりますので注意が必要です。

「うちの子の場合どうしたらいい?」 

という心配がある場合、
現在相談している支援者や、行政担当の方、発達クリニックの方、保育園や幼稚園の先生、相談支援員などに相談してみるとよいと思います。 

療育だけで成長が決まるわけではない

言語訓練をしている子供

療育に通所している人の感想を伺うと、全く正反対の感想を得ることがあります。

「療育に通って、ものすごく伸びた」
「せっかく療育に通わせたけど、全然効果ない」

どちらが本当の意見?と思ってしまいますが、このような意見になるのは、今まで言い続けていた【個人差が大きい】という点が大きく関係しています。

もちろん療育に通うことで、特性の理解や関わり方が見えてきます。
ただ、療育で提供される時間は、生活のほんの一部です。 

子どもは、家庭・保育園や幼稚園などで多くの時間を過ごしています。 

そのため、療育の一部分での取り組みだけでは、効果を得にくいというのも事実です。

「療育に通わせたら、伸びる」
「療育に通わせたら、できるようになる」

ということではなく、

療育だけでなく、生活全体を考えて関わりや役割分担を行うことが、
お子さんの力を高める近道となります。

SNSの療育情報を見るときの注意点

SNSやホームページサイトの中で

  • 「これで伸びる」
  • 「〇ヶ月で変わる」

などの情報を目にすることが多くなってきていますが、

療育や関わりなどは、子どもの特徴や発達の状況、周囲の状況や関わる相手との関係性などによって絶えず変わっていくものです。万人にフィットする万能な方法は、基本的にはありません。

絶えず、その子に合った方法を丁寧に見つけていくことが大切だと考えます。
方法論も時に大切かもしれませんが、
私はお子さんに合った良い方法を、お互いの知恵を出しながら一緒に考えていける伴走者(支援者)を見つけることが大切だと感じています。

そして、私自身も保護者の皆さんとそんな存在になりたいと思っています。

まとめ

今回は、療育についてのお話をしました。
今回紹介した内容は、本当にごく一部です。
それぞれの事業所では、お子さんの状況に合わせて、様々な工夫がなされています。
利用を考えるにあたっては、
実際に目で見て・雰囲気を感じてみることをおすすめします。また、療育の一部分でお子さんを考えるのではなく、家庭・保育園や幼稚園での様子も踏まえて、考えていけるとよいと思います。

かんちゃん
かんちゃん

療育は
子どもを「変える場所」ではなく、

その子が過ごしやすくなる方法を
一緒に見つけていく場所。

療育では、“訓練”というよりも
子ども一人ひとりに合わせた“あそびや生活の中での支援”が行われています。 その子らしく育っていくための関わりを私は「おのれ療育」と呼んでいます。




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