

こんにちは!
元児童発達支援管理責任者の
かんちゃんです。
このブログでは、現場での経験を踏まえて、さまざまな療育に関する情報を発信しています。
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「うちの子、療育に通いすぎかな?」
「みんな療育を掛け持ちしてて・・・。
掛け持ちしたほうが伸びるのかな?」
療育に通いはじめると、多くの方がここで立ち止まります。少ないと不安、多すぎても心配。どれくらい通えばいいのかは、誰もがぶつかる壁だと思います。
わたしは10年以上、療育の現場で働いてきました。児童発達支援管理責任者として、また地域で施設選びの相談にのる立場として、たくさんのご家庭のお話をうかがってきました。
その中で、はっきりお伝えできることがひとつあります。
たくさん通えば、その分伸びる——というものではありません。
では、何を基準に考えればいいのか。今日はその視点をお伝えします。
療育に通う前に知ってほしい前提|生活の基盤は園と家庭
回数の話をする前に、どうしても先にお伝えしたいことがあります。
児童発達支援に関していうと、お子さんの生活の基盤は、あくまでも保育園や幼稚園、そして家庭です。
療育は、その生活の中で経験しにくいことを補ったり、練習が必要なことに対して、より良い方法を発見し、大人と一緒に丁寧に経験していく場所。園や家庭での生活を支える場所と考えます。
そしてここが大事なところなのですが——この前提に立つと、「適切な回数」は、その子が通っている園やご家庭での環境によって変わってくるということになります。
同じお子さんでも、園や家庭のライフサイクルがちがえば必要な療育の頻度も、目標も変わる。「何歳だから週何回」という一律の答えがないのは、そのためです。
同じ子でも、園や家庭の環境で必要な療育の回数は変わる

たとえば、こんなケースです。
自由保育スタイルの幼稚園に通っているAちゃん。自由な時間が苦手なAちゃんは、園では遊べずにぼーっとしていることが多い。一方、設定されたあそびがある療育では、運動や音楽などいろいろなあそびに挑戦し、達成感を得られています。
こういう場合、Aちゃんにとっては幼稚園の環境が少しミスマッチなのかもしれません。
Aちゃんがあそびを楽しむためには、今の幼稚園で先生が本人に合わせて能動的に関わったり、環境を工夫したりすることが必要になります。それがむずかしい場合は、療育で過ごす時間を増やすという方法を検討することもあります。
ただ、療育では経験しにくいこともあります。行事などがその代表です。だからこそ幼稚園とも相談しながら、どんな協力体制がとれるかを一緒に工夫していくことが大切になります。
「回数を増やすかどうか」は、実は園での過ごし方とセットで考える問題なんですね。
療育に週5は通いすぎ?必要になるケースもあります

「療育に週5」と聞くと、多すぎると感じる方もいるかもしれません。でも、週5が必要なケースもあります。
たとえば、生活面(ADLスキル/着替え・食事・排泄などの日常生活動作)で、全面的に大人の丁寧なサポートが必要なお子さんの場合です。
幼稚園は、あくまでもあそびが中心となる場所。先生が一人で多くの子どもを見ているため、ある程度の生活面の自立が求められることが多いです。保育園は生活の場なので生活面を学ぶこともできますが、マンツーマンで丁寧に本人に合わせた対応ができるかというと、むずかしい場合もあります。
その点、療育は本人の状態に合わせて、その子のやりやすい方法を発見し、大人が丁寧に関わりながら「できること」を増やしていく場所です。
また、生活面での丁寧な関わりは、おうちでの毎日の中でも積み重ねていくことができます。療育で見つかった「この子にやりやすい方法」をご家庭にも取り入れていくと、通う回数以上の効果が生まれることもあります。
つまり「週5だから通いすぎ」ではなく、その子にいま必要なことが、どこで得られるかで考える。回数の数字そのものに、正解も不正解もありません。
療育の掛け持ちを考えるときの、たったひとつの問い

さて、ここからは掛け持ちのお話です。
まず前提として、複数の場所で過ごすことは、子どもにとって大変なことです。場所が変われば、支援者も、雰囲気も、進め方も変わります。療育そのものより、「まず環境に慣れること」に目標が向き、時間を費やしてしまうケースも少なくありません。
想像してみてください。わたしたちが毎日ちがう職場で、ちがう上司のもと、ちがうやり方で仕事をするとしたら——ちょっと大変ですよね。子どもたちも同じです。そしてその疲れは、多くの場合ことばになりません。
そのうえで、掛け持ちを考えるときに持ってほしい問いが、ひとつあります。
「その環境(事業所)でしか得られない目標が、あるだろうか?」
もし同じような目標や願いで通っている事業所が複数あるなら、一つの環境にまとめて回数を調整するほうが、効果が得やすい場合が多いです。分散させるより、一か所で積み重ねることで、本人の理解や発見につながりやすいと考えます。
掛け持ちが生きるのは、事業所ごとに役割が分かれているとき
逆にいえば、目的がはっきり分かれている掛け持ちは、力を発揮します。
たとえば、こんな分け方です(あくまで一例です)。
- 個別療育:じっくりと、本人の興味・関心を広げる
- グループ療育:お友達とのやりとりを経験する
- 保育園・幼稚園:行事など、園ならではの経験をする
それぞれに役割があり、その子にとって必要な経験が重ならずに分かれている。こうなると、掛け持ちは意味を持ちます。
そしてもうひとつ大切なのが、情報の共有です。
個別療育で見つかった「この子はこの方法ならわかる」を、家庭での生活、グループ療育や保育園でも取り入れてもらう。逆に、グループ療育で課題になっている点を、個別療育の特徴を活かして、じっくり丁寧にアプローチしてもらう。こうしたやりとりがあると、掛け持ちの効果はぐっと高まります。
ただ、ここに大事な現実があります。
この橋渡しを担うのは、基本的に保護者の方です。(計画相談を利用している場合は、相談支援専門員さんが担ってくれることもあります)
つまり、通い先が増えるほど、保護者の方の役割も増えていくということ。A事業所の様子をB事業所に伝え、園にも共有し、方針のちがいを調整する——これはけっこうな仕事量です。
こうした情報共有がないまま、ただ複数通うことは、より良い効果を得にくいというだけでなく、子ども自身の混乱を招くという場合もあります。
掛け持ちを考えるときは、お子さんの負担だけでなく、ご家族が無理なく続けられるかどうかも、遠慮なく判断材料にしてください。
療育を掛け持ちするときの手続きは?
「掛け持ちしたい場合、手続きはどうするの?」というご質問もよくいただきます。
一般的には、受給者証は1枚で、その支給量の範囲内で複数の事業所を利用するという形になります。事業所ごとに契約が必要になるため、新しく利用する場合はその事業所と契約を結ぶことになります。
ただし、手続きの流れや必要な書類、支給量の考え方は自治体によってかなり異なります。受給者証の申請と同じく、お住まいの市区町村の窓口や、相談支援専門員さんに確認していただくのがいちばん確実です。
そしてもうひとつ思い出してほしいのが、通える回数を決めているのは市町村だということ。お子さんの状況を確認したうえで、「このくらいが適切だろう」と自治体が判断して支給量が決まります。回数には、もともと限りがあるのです。
「通う」以外の選択肢|保育所等訪問支援という方法

意外と知られていないのですが、療育=どこかに通うこと、だけではありません。
保育所等訪問支援という支援のかたちがあります。これは、支援員が通っている保育園や幼稚園に出向いて、園の中でどう支援していくかを一緒に考えるというスタイルです。
「園での過ごしに困りごとがある」「園の協力が得られそう」——そんなときに、選択肢のひとつになります。園の先生と支援者が直接つながるので、先ほどお話しした「情報の橋渡し」の負担も軽くなります。
回数を増やすか、掛け持ちするか。その二択で悩んでいる方は、こういう方法もあることを知っておいてください。
回数や掛け持ちは、ひとりで決めなくて大丈夫
最後にお伝えしたいこと。
お子さんにとってどんな療育のスタイルがいいかは、保護者の方だけでは決めきれないことも多いと思います。それは当然のことです。発達段階を見立てて、園の環境と照らし合わせて、必要な経験を考えて……というのは、本来とても専門的な作業だからです。
支援員さんや相談支援専門員さんに、お子さんの状態を踏まえたうえで提案してもらう。そんな進め方でまったく問題ありません。
(相談のルートは市町村によって変わってきますので、受給者証の手続きと同じく、お住まいの地域で確認してみてくださいね)
まとめ
- 療育は「たくさん通えば伸びる」ものではない
- 生活の基盤は園と家庭。だから園や家庭の環境によって、必要な回数は変わる
- 週5が必要なケースもある。数字そのものに正解はない
- 掛け持ちを考えるときは「その環境(事業所)でしか得られない目標があるか」を問いに
- 役割が分かれている掛け持ちは力を発揮する。ただし橋渡しは保護者の役目
- 「保育所等訪問支援」という選択肢もある
- ひとりで決めなくていい。支援員・相談員さんに提案してもらいましょう
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